理科の授業・教材

 実力を加速させるための理科の勉強法とは,どのようなものでしょう。
理科という科目は,4大分野の各細分野の多岐にわたって,算数的な要素と暗記的な要素の二つを含んでいます。
 ですから,それぞれの分野ごとに勉強法が異なります。
 基本的には目次(サイト)構造をしっかりおさえること。
 大きな部分から小さい部分の,言ってみれば,「自分が一体どんな分野の何を今勉強してるのか」について把握できることが大事だと考えます。大雑把に言えば,例えば,「生物について何を勉強しましたか?」というような質問にもしっかりと答えられるような勉強です。
 この勉強法(把握法?)が暗記の継続や,分野のつながりの理解,そしてなによりも,将来的に最も役に立つものと考えています。
 そしてそのために私は独自のチェックリストを作りました。
そしてこの薄い1冊だけが私のテキストとなります。
チェックリストの使い方もその前書きではこんなふうに指示しています。

1 チェック設問に対しては,狭い意味での解答を要求しているわけではない。関連事項に対してどの程度イメージできるかがチェックのポイントとなるからである。
答えは言葉にしたり図に描いたりしてみること。
ただし,イメージできたこと全てを書き出すことは,時間がかかりすぎるので,避けたほうがよいだろう。

2 初めは,「何も思い出せない」という状態かもしれないが,これで自信を失ってはいけない。どんなことでもよいから勉強したことを,そのチェック項目に関連して解いたことのある問題を思い出すことからスタートする。
最初から100%の完成度を期待するのは無理である。

3 それ以上,何も思い出せないと思ったときに,チェック項目の解答部分に当たる解説や問題を見てみると,「ああ,こんなこともやったな」と,自分のそれまでの学習が,驚くほど明らかに思い出すことができることに気がつくはずである。またそれだけではなしに,それまでの勘違いや覚えちがい,記憶の不鮮明な部分もそれ以後はよりはっきりと意識することができるようになる。
4 子供自身のチェックの姿勢に甘さを感じているのならば,親子でやってみる方法もある。例えば,親がチェックリストとテキストを持って子供に口頭試問するような形式でやって,後でその弱い部分を学習するというように。

 と,まあこんな感じなのですが,授業ではちょっとアレンジなりあります。

 で,この作業ができてから,というか,ほぼ同時進行的に,問題練習という流れでしょうか。

 では各分野ごとに授業の大きな方針を示しましょう。
Ⅱ 地 学
 
この分野は,まず,大きく2つの分野に分かれます。
(1) 地 質
(2) 天 体
それぞれの分野について,さらにいろいろな枝分野に分かれます。
ここでは,例として (2)天 体 についてとりあげてみます。
 天体分野は,暗記分野と捉えられがちですが,いくつかの基本ルールをしっかりとおさえさえすれば,完全に,「思考分野」となり,得点源にすることができます。

(2) 天 体
1. 太陽と地球
2. 気象
3. 月

4. 太陽系惑星
5
. 

 
さらに,それぞれの枝分野について,いくつかの論点を含んでいます。目次を拾っているだけではありませんからね。(笑)
そしてそれらの論点についてチェック項目があり,授業は,ここから始まります。
 例えば,
1. 太陽と地球について,チェックリストから,ピックアップします。
Ⅰ 地球と太陽・天球の作図
1 地球の自転とは?

2 北緯35度地点での天球を作図するのに必要な二つの原理は?
3 太陽の一日の動きと天球上の時刻計算の原理は?
4 季節の違いによる天球上の太陽の動き・南中高度・日照時間
  等の作図や計算
5 季節の違いによる観測点での日影曲線の作図の原理
6 天球の作図の原理を用いて次の位置の天球を図示せよ。
 ① 北緯45度 ⓶ 赤道上 ⓷ 北極点 ④ 南緯35度
 ⑤ 南極点 ⓺ 北回帰線上 / 南回帰線上

Ⅱ 地球の公転図 
1 地球の公転図とそこからわかることは?
2 地球上のある地点での東西南北の方向の意味は?
3 経度と南中時刻・時差について説明せよ。
4 ある二地点が同じ経度である場合の共通点は?
5 ある二地点が同じ緯度である場合の共通点は?

 これらについての理解があいまいだと,月・惑星・星の学習はかなりすべります。
基本ルールが共通だからです。

Ⅲ 物 理
 
この分野は,まず,大きく5つの分野に分かれます。
(1) 光
(2) 音と波動
(3) 熱
(4) 電気
(5) 力と運動

それぞれの分野について,さらにいろいろな枝分野に分かれます。
 物理分野は,それぞれの細分野について,いくつかの基本ルールをしっかりとおさえさえすれば,完全に,「思考分野」となり,得点源にすることができます。
 ただし,かなり多岐にわたる範囲で,これらをいっぺんにできるようになるのはやはり大変です。
そこで,重要な(出る順)順に一つ一つを得意化していこうと思います。
不得手をなくすという考え方じゃなく,得意を増やそうという発想です。
ここでは,例として (4) 電気についてとりあげてみます。
この分野はさらに大きく4項目に分けて学習します。チェックリストから,ピックアップしました。
1 豆電球の電流計算・複雑な回路
2 電熱線の電流計算
3 電流と発熱
4 電磁力
 
さらにそれぞれの項目に細かい論点がありますが,ここでは1 豆電球の電流計算・複雑な回路の目次とその一部を公開しましょう。

1 豆電球の電流計算・複雑な回路

1 乾電池の接続・電圧量
2 電球の単純直列・単純並列の電流計算
3 電球の合成抵抗計算と,複雑な直列回路の電流計算
4 複雑な回路・ブラックボックスの考え方



Ⅳ 化 学
 
この分野は,まず,大きく2つの分野に分かれます。
(1) 実験器具とその使い方
(2) 溶解度・飽和水溶液と飽和濃度
(3) いろいろな気体の性質・製法と比例計算
(4) 物の燃焼と加熱変化と比例計算
(5) 水溶液の分類と中和と比例計算
それぞれの分野について,さらにいろいろな枝分野に分かれます。
 化学分野は物理分野と同様に,それぞれの細分野について,いくつかの基本ルールをしっかりとおさえさえすれば,完全に,「思考分野」となり,得点源にすることができます。
 また,比較的狭い範囲である上に平均1/4の配点であることから,化学分野の攻略が理科の攻略になるといっても過言ではないと思います。

チェックリストの一部を公開します。

 物の燃焼・加熱変化 
1) 無機物・金属の燃焼・酸化・還元
1 燃焼とはどういう現象か。酸化の考え方を用いて説明せよ。
2 ① 無機物と有機物の分類基準を簡単に説明せよ。
   ② 下記の物質を,無機物または有機物の状態別に分類せよ。
 木,かたくり粉,砂糖,食塩,灯油,アルミニウム,イオウ メタン,
  エタノール(アルコール),紙,マグネシウム,リン 鉄,銅,
  プロパン,水素,炭素,水,二酸化炭素,一酸化炭素 ろう(パラフィン)
3  金属の燃焼について(鉄やマグネシウム,アルミなど)
 ① 燃焼の反応式をそれぞれ言葉で
 ② ①に比例関係の説明を加えよ。

4  酸化銅の水素還元,炭素還元について
 ① 実験装置と方法の説明 ② 還元の式をそれぞれ言葉で説明
炭素の燃焼について,
 ① 燃焼の式を言葉で
 ② ①に比例関係の説明を加えよ。
6  水素の燃焼について,
 ① 燃焼の式を言葉で
 ② ①に比例関係の説明を加えよ。
7  燃焼やさびによる空気の成分の変化について
 ① 実験装置や方法について説明
 ② 結果とその理由について説明
8 赤さびと燃焼の共通点・相違点,黒さびとは
9 使い捨てカイロの発熱のしくみや使われている材料との関係


Ⅰ 生 物
 
この分野は,まず,大きく5つの分野に分かれます。
(1) 植 物
(2) 動 物
(3) 環境と生物
(4) 人 体
(5) 生命と誕生


それぞれの分野について,さらにいろいろな枝分野に分かれます。
ここでは,例として (4) 人 体 についてとりあげてみます。
(4) 人 体
1. 骨格と筋肉・運動
2. 呼吸と肺・さまざまな生物の呼吸
3. 消化器系と栄養分

4. 循環器系と排出系
5
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感覚と刺激
チェック項目ははさらにいろいろな枝分野に分かれます。時には図で示しなさいなどもあります。